2005 Fiscal Year Annual Research Report
音楽音響信号理解に基づく新たな音楽インタフェース研究
Project/Area Number |
17680019
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
後藤 真孝 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報技術研究部門, 主任研究員 (20357007)
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Keywords | 音楽情報処理 / 音楽情報検索 |
Research Abstract |
本研究は、計算機が音楽音響信号を自動理解できるようにすることで、人間の音楽の聴き方をどのように豊かにできるかを探求することを目的とする。本年度は、楽曲内容の自動理解に基づく音楽再生や音楽情報検索の新たな方法を提案し、実際にエンドユーザが使えるプロトタイプシステムのレベルまで実装して、音楽音響信号理解技術に基づくインタフェースがエンドユーザの音楽体験に貢献できることを実証する研究を計画通り進めた。そして代表的な成果として、楽曲再生と類似楽曲検索をシームレスに操作可能にする新たな音楽再生インタフェースを実現した。これは、従来の曲名等の書誌情報に基づく単なる楽曲検索を越えて、ユーザが漠然と抱く「何か聴きたい」という欲求を満たせる音楽検索・再生インタフェースである。具体的には、データベース中の多数の楽曲を、画面上を上から下へ流れるように次々と表示し、ユーザがある曲を選択して流れゆく楽曲集合の中をドラッグすると、自動計算した楽曲類似度に基づいて似た曲がくっついて集まる機能(検索対象をその場で柔軟に指定できる一種のquery-by-example検索機能)や、それらの楽曲群をザッピング再生してプレイリスト(再生曲目リスト)を作成する機能、位置の記憶を利用しながらプレイリスト同士の再生順序をさらに指定するメタプレイリスト機能、操作履歴を自在に参照して呼び出すことができるタイムマシン機能等を提案・実現した。27人の被験者に対して運用実験をした結果、提案した機能は訓練なく容易に使うことができ、面白いだけでなく実際に未知の楽曲と出会う上で効果的であることがわかった。本研究により、何十万曲もの音楽コレクションを無制限に聴くことができる定額制音楽配信サービス等が普及する近未来において、音楽との多様な出会い方を提供することが可能となった。
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