2005 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起グルタミン酸活性化法による大脳シナプス構造・機能可塑性の包括的研究
Project/Area Number |
17680033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松崎 政紀 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50353438)
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Keywords | シナプス / 神経生理学 / グルタミン酸 / 可塑性 / 超短パルスレーザー |
Research Abstract |
本研究課題では、2光子励起グルタミン酸法を最大限に活用し、生理的刺激下における大脳シナプスの形態と機能の可塑性・安定性を、最も代表的な大脳海馬において定量化する。即ち、細胞の活動電位と2光子励起グルタミン酸法による単一シナプス入力を同期して誘発し、そのタイミングをずらしていくことで、長期増強(LTP)と長期抑圧(LTD)を誘発する。 本年度は海馬スライス培養のCA1錐体細胞に対しホールセルパッチし、カレントクランプモードにしてから、電極から電流を注入することで活動電位を誘発した。その前後+-50ミリ秒の間で、単一スパインにグルタミン酸刺激を同期させ、これを1Hzで繰り返した。この結果、スパイン刺激の後に活動電位を誘発したものでは、スパイン頭部増大が、活動電位の後にスパイン刺激を行った場合は、スパイン頭部縮小が観察された。この現象は、活動電位とスパイン刺激の間隔が10-30ミリ秒の間の時、顕著であった。さらに、この現象は刺激前のスパイン頭部体積に依存し、小さなスパインは大きくなるが、大きいスパインは大きくなりにくいこと、また小さくなる場合には、スパイン頭部とネックの初期状態が重要であることがわかってきた。このことは、生理的刺激によって、単一スパインレベルで、大きくなったり、小さくなったりすることを示したはじめての例であり、それがその形態に強く依存していることを示している。現在この刺激を入れる前と後で、グルタミン酸受容体の感受性が変わっているかを、調べているところである。
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