2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化ナノパターン構造薄膜による3次元配列制御された生体組織形成
Project/Area Number |
17680035
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 賢 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (00322850)
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Keywords | 再生医療 / 足場 / 自己組織化 / 多孔質 / 増殖 / 分化 / 幹細胞 / ハニカム |
Research Abstract |
自己組織化プロセスにより作製したハニカムフィルムを足場材料として、胎生14日目のマウス胎仔大脳皮質組織から調製した神経幹細胞を培養し、足場表面の規則的微細構造によって神経幹細胞の分化と増殖、及び神経突起のガイディングと神経回路網の形成がどのように制御されるかについて検討した。形態制御に関して、1.神経幹細胞は孔径5μm以上のハニカムフィルム上で神経細胞に分化した。2.ハニカムフィルムの孔径によって神経細胞から出る突起数と突起分枝数が制御された。3.特に孔径10μmでは神経突起はハニカムの幹に沿って伸展することを明らかにした。また、機能に関して、カルシウムウェーブの同期率測定から孔径10μmでの神経回路の同期率が最も高いことを見出した。神経幹細胞のサイズよりも小さな孔径(3μm)のハニカムフィルム上ではスフェロイドが形成されることを見出した。抗体染色法によるスフェロイド構成細胞の分化レベルと増殖性の評価および培養による機能評価を行ったところ、スフェロイドを構成する細胞は神経幹細胞が未分化状態を保ったまま自己増殖したものであることを明らかにした。この現象は、サイトカインフリーの培養条件下、ハニカムフィルム(孔径3μm)の表面形状が神経幹細胞の分化を抑制し、未分化性が維持されている現象であることがわかった。スフェロイドを形成している細胞が正常な分化能をもっているかを調べるためスフェロイドを個々の細胞に分散させて再び培養を行うと、培養2日で突起を伸展させ、神経細胞のマーカーであるMAP2に陽性であったことから、スフェロイドを構成している神経幹細胞は、正常な分化能を維持していることが明らかになった。
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