2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外力学環境の微細設計と細胞のメカノタキシス制御のナノバイオメカニクス研究
Project/Area Number |
17680038
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木戸秋 悟 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (10336018)
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Keywords | 細胞メカノタクシス / バイオメカニクス / マイクロ弾性勾配ゲル |
Research Abstract |
本研究課題では,精密設計された細胞外環境下での細胞のメカノタキシス挙動を、超微弱光検出顕微分光・蛍光・原子間力顕微鏡法を用いて解析することで、「細胞」・「人工基材」・「細胞-人工基材間相互作用」のナノバイオメカニクスの定量的理解の拡充を図り、細胞外力学環境の微細設計とそれによる細胞行動の制御の間の相関を系統的に調べる.メカノタキシス(mechanotaxis)は細胞が周囲組織のより硬い領域を指向して移動する性質(機械的走性)であり,細胞増殖因子等の生化学分子の濃度勾配感受性のハプトタキシス(haptotaxis)とともに,細胞運動制御の方法の一つとして近年注目されつつある.第二年次である今年度は、初年度に確立したMEGゲルの系統的設計と細胞のメカノタキシス特性制御法を用い,異なる種類のメカノタキシス速度差を利用した分離を可能とするMEGゲルの弾性境界条件(ゲルの材料・弾性率・微分弾性勾配等)を詳細に検討した。その結果、細胞外マトリックスの弾性分布設計による細胞運動の高精度制御のためには,1)軟領域における運動性、2)弾性境界の急峻さ、および3)軟領域と硬領域の弾性率比の2設計項目の最適設定が不可欠であることがわかった。特に、弾性率勾配条件の設定に関して、急峻・不連続的な弾性境界および緩慢・連続的な弾性境界上での細胞運動の比較を行ったところ、前者の条件において明確に硬領域指向性のメカノタクシス挙動が強まる傾向が見られた。以上の3項目の最適設計により、異なる細胞の運動性の差をより鋭敏に検知し得るMEGゲルの設計が可能となることがわかった。
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