2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外力学環境の微細設計と細胞のメカノタクシス制御のナノバイオメカニクス研究
Project/Area Number |
17680038
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木戸秋 悟 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 教授 (10336018)
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Keywords | 細胞メカノタクシス / バイオメカニクス / マイクロ弾性勾配ゲル |
Research Abstract |
本研究課題では,精密設計された細胞外環境下での細胞のメカノタキシス挙動を、超微弱光検出顕微分光・蛍光・原子間力顕微鏡法を用いて解析することで、「細胞」・「人工基材」・「細胞-人工基材間相互作用」のナノバイオメカニクスの定量的理解の拡充を図り、細胞外力学環境の微細設計とそれによる細胞行動の制御の間の相関を系統的に調べる.メカノタキシス(mechanotaxis)は細胞が周囲組織のより硬い領域を指向して移動する性質(機械的走性)であり,細胞増殖因子等の生化学分子の濃度勾配感受性のハプトタキシス(haptotaxis)とともに,細胞運動制御の方法の一つとして近年注目されつつある.第三年次である今年度は、昨年度までに確立したメカノタクシス高効率誘導マイクロ弾性勾配ゲル(MEGゲル)の作製技術を応用して、細胞運動の長距離一方向整流マトリックスの開発を検討した。マイクロ弾性パターニング用の縮小投影パルス光照射式フォトクラフィーシステムを新たに設計し、弾性率勾配の変化が鋸型の非対称な周期的パターンを示すゲルマトリックスの作製を検討した。その結果、ファイマンラチェット型弾性勾配場の作製に成功した。このような非対称弾性勾配場の細胞運動の整流への有効性を示す基礎データが得られ、細胞の運動性の差を利用した細胞クロマトグラフィーの設計の基礎指針を確立することができた。実際に、異なる細胞の共培養系での細胞分離条件の評価への応用を開始できた。
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