2005 Fiscal Year Annual Research Report
効果的な遺伝子発現のための種々機能を組み込んだポリカチオンの分子設計
Project/Area Number |
17680039
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
原田 敦史 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (50302774)
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Keywords | 遺伝子デリバリー / ヘッド-テイル / ブロック共重合体 / ポリアミドアミンデンドリマー / ポリリシン / プロトンスポンジ効果 |
Research Abstract |
非ウイルスベクターの開発に関しては、DNAがアニオン性であることを利用して、カチオン性のポリマーや脂質を用い、コンプレックス形成させる試みが数多く報告されてきている。良好な遺伝子発現を達成するには、血流中等の生体成分共存下で安定であるというのは絶対条件であり、それに加えて、目的細胞を認識する機能(標的認識機能)、細胞内エンドソームから細胞質へ脱出する機能(エンドソーム脱出機能)、核へ治療用遺伝子を送達する機能(核移行機能)が必要であると考えられる。本研究では、絶対条件である生体成分共存下での安定性を高めるためにPLLを利用する。このPLLの特性を維持しつつ種々機能を組み込むために、PLLとポリアミドデンドロンからなるヘッド-テイル型ポリカチオン(PAMAMA dendron-PLL)とする。この構造により、コンプレックス形成部位とエンドソーム脱出機能を有する分子となる。さらに、このヘッド-テイル型ポリカチオンのヘッド部の先端に標的認識機能を導入することによって、非ウイルスベクターとして理想的な機能を合目的に組み込んだポリカチオンによる遺伝子発現の増強を実現する。 本年度は、PAMAM dendron-PLLの合成手法を確立し、pDNAとのコンプレックス形成挙動について、dye exclusion assayとgel retardation assayにより評価した結果、PAMAM dendron-PLLは、PLL部とpDNAの間で選択的にコンプレックス形成していることが確認された。さらに、培養細胞に対する遺伝子発現能を評価した結果、PLLホモポリマーと比較して、100倍高い遺伝子発現が確認された。これは、PAMAM dendron部のプロトンスポンジ効果が効果的に発現したためであると考えられ、目的としたエンドソーム脱出機能が付与された。
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