2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17680040
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Research Institution | Research institute for Brain and Blood Vesseis Akita |
Principal Investigator |
中村 和浩 秋田県立脳血管研究センター(研究局), 放射線医学研究部, 流動研究員 (10312638)
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Keywords | NMR / 高偏極 / キセノン / 組織酸素分圧 / ケミカルシフト / MRI / 脳 / 縦緩和時間 |
Research Abstract |
高偏極キセノンのケミカルシフト周波数や縦緩和時間と脳内酸素濃度の関係を見出し、新しい脳機能測定手法を開発することが本研究の目的である。まず、脳内酸素濃度によるケミカルシフト周波数の変化を調べるため、ラット数例のデータを測定した。測定周波数はキセノンガスから得られるスペクトラム(ガス相)周波数を基準とし周波数比(ppm)として表示するが、基準となるピークが測定毎に変化しており、その変化分が数ppm程度あった。これは酸素濃度変化により期待される周波数変化程度であり、今後の実験上問題となる。そのため、測定時の静磁場強度分布をMRIのシーケンスを工夫することで測定可能とし、基準周波数を補正する手法を考案した。その結果、基準周波数の変化が補正可能となった。 また、計測される偏極キセノン信号の減衰特性から、縦緩和時間と脳血流量を分離して導出できるようにするため、解析モデルによる簡単なシミュレーション解析を試みた。解析モデルはキセノンガス縦磁化の漸化式に基づく行列式で構成されており、測定データに適用しパラメータ推定をおこなうことで、脳血流や組織縦緩和時間を分離して導出することが可能となる。このモデルをヒトの測定データに適用した結果、脳血流量を別の測定法により正確に推定できれば、組織内縦緩和時間を正しく推測できることを示した。 さらに、現在利用している偏極装置の最適化を検討するため、複数の偏極セルにおいて偏極信号の時間変化を測定した。測定の結果、あるセルでは、偏極開始から5時間後に最高偏極率に達した後、その後減少し、12時間後には最高偏極率の1/2から1/4程度になる現象が見られた。また、48時間程度かけて、偏極率が次第に増加していくセルも存在した。この結果は、従来報告されている物理現象だけでは説明できず、セル壁面の状態が時間をかけて次第に変化した結果だと考えている。
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