2006 Fiscal Year Annual Research Report
見た目の良い野菜は栄養性・機能性も優れているのか?
Project/Area Number |
17680048
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
山口 智子 奈良女子大学, 生活環境学部, 助手 (70324960)
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Keywords | 食品 / 野菜 / 機能性 / ラジカル捕捉活性 / ポリフェノール / アスコルビン酸 / 色 / 品種 |
Research Abstract |
野菜には生活習慣病や老化を予防する機能性成分が多く含まれることが明らかになっている。近年、市場では色の異なる野菜や小型のものなど、見た目に珍しい野菜が出回わり、野菜を購入する際の選択肢が多様化している。そこで本研究では、野菜に含まれる機能性成分のうちラジカル捕捉活性とそれに寄与する成分について着目し、色および品種の異なる野菜の加工・調理特性を評価した。まず、緑キャベツおよび赤キャベツを1mmにスライスしたものに砂糖、塩、酢、もしくは砂糖・塩・酢の混合調味液を加えて、10℃で35日間浸漬した漬物についてラジカル捕捉活性の変化を調べたところ、緑キャベツの砂糖漬けおよび塩漬けでは3日目から、酢漬けおよび混合調味液漬けでは1日目から著しく低下した。特に、酢漬けにおいてはその傾向が顕著にみられ、ラジカル捕捉活性に大きく寄与するアスコルビン酸が酢の浸透圧によって急激に引き出されたためであると考えられた。赤キャベツにおいても同様の傾向がみられた。ポリフェノール量に関しては、酢漬けおよび混合調味液漬けでは減少しなかったが、砂糖漬けおよび塩漬けでは経時的に減少した。次に、品種の異なるサトイモの機能性と調理適性について調べたところ、サトイモ7品種のラジカル捕捉活性は、「唐の芋」で最も高く、「大野芋」「田原本系」「上庄系」では低い値を示した。総ポリフェノール量は、ラジカル捕捉活性とほぼ同じ傾向を示し、品種間差があることが明らかになった。アスコルビン酸量はいずれの品種においても低く、ラジカル捕捉活性への寄与率は3〜11%であった。また、味噌汁、田楽、煮っ転がしなどの調理適性にも品種間差がみられた。しかし、ラジカル捕捉活性、総ポリフェノール量およびアスコルビン酸量と、調理適性と関係が深いと考えられる粘り、硬さおよびほくほく感に対する食感並びに美味しさとの間には有意な相関は認められなかった。
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