2005 Fiscal Year Annual Research Report
水田から涵養された浅層部地下水が沿岸海域におよぼす物質負荷量の解明
Project/Area Number |
17681002
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
宮岡 邦任 三重大学, 教育学部, 助教授 (70296234)
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Keywords | 観測井 / 連続観測 / 地下水-海水相互作用 / 非抵抗探査 / 非灌漑期 |
Research Abstract |
初年度にあたる本年度は,涵養源である地表水(水田)-地下水-海水の相互作用について,季節変化や潮汐の関係を連続観測するための環境づくりに努めた.海岸の地質構造の異なる2地点において深度の異なる観測井を掘削すると共に,陸域-海域の地下水流動形態解明のために河川旧流路に沿って上流から下流にかけて,陸域にも深度の異なる観測井を4地点で設置した.それぞれの地点では,掘削時に透水試験を実施すると共に,地質特性についても把握した.現在,海岸において地下水位,水温,電気伝導度を,陸域において地下水位および水温を,センサーを設置することによって15分おきに連続的にデータを取得している.地下水位や電気伝導度は海岸の2地点でも大きく異なっており,このことは地質構造によって地下水流動形態が異なっていること,地域によって異なった地下水流動系が存在することが考えられた. また,海岸から海域にかけての地下水と海水の相互作用を解明するために,2005年12月より大潮時期に干潮から満潮もしくは満潮から干潮にかけて1時間おきに非抵抗探査を実施した.この結果は,センサーによる地下水連続観測の値とほぼ一致している. さらに,陸域の地下水流動形態を解明するために,2005年11月および2006年2月に地下水・河川水の測水調査を実施した.陸域の地下水水質は,土地利用形態に大きく影響を受けていることが考えられる.現在は,非灌漑期のデータのみの取得となっているが,この時期は,苗木畑を中心に硝酸濃度の高い傾向にあることが明らかになった.海岸付近に形成された砂州では,旧河川流路をはじめとした内部地質構造の影響が地下水の物理化学的特徴に反映されていることが示唆された. 今後は灌漑期-非灌漑期にかけて,季節変化についての調査を行いデータの取得に努める予定である.
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