Research Abstract |
地下水-海水相互作用の季節変化を解明するために,1〜1.5ヶ月おきに海岸部から沖合100m程度にかけて測線を張り,非抵抗探査を実施した.また,海岸部潮間帯に設置した深度の異なる観測井でスクリーン深度にCTDセンサーを設置し,15分間隔で地下水位,電気伝導度,水温を測定した.さらに,陸域でも3ヵ所で深度の異なる観測井に水温・水位センサーを設置し,30分間隔で測定を行った.陸域の地下水測水調査は,非灌漑期から灌漑期にかけての季節変化を把握するために,2006年2月,5月,8月,11月,2007年2月に実施した. これらの調査の結果,陸域から海岸部にかけての地下水流動系が明らかにされ,非抵抗探査の結果から推定された複数存在するSGDと陸域からの地下水流動系との連続性が解明された.沖合50m付近に認められた海底からの地下水湧出(SGD)の存在は,従来の研究で観測された例はない.また,海岸部観測井における水位や水質の季節変化は,地点や深度によって大きく異なり,SGDの位置や水質についても,同じ位置から湧出するSGDでも季節によって異なる地下水流動系からの湧出であることが明らかになった.当初,灌漑期において,海域の地下水流出にもっとも陸域からの施肥をはじめとする灌漑の影響が出ていると予想していたが,実際には深度によって灌漑の影響が現れる時期は異なっており,最も深層の地下水では,2〜3月にかけて夏季の水質を反映しているという結果が得られた. これらの成果は,日本地球惑星科学連合2006年大会,日本地下水学会秋季大会,AGU FallMeetingにおいて発表した.
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