2007 Fiscal Year Annual Research Report
水田から涵養された浅層部地下水が沿岸海域におよぼす物質負荷量の解明
Project/Area Number |
17681002
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
宮岡 邦任 Mie University, 教育学部, 准教授 (70296234)
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Keywords | 海底地下水湧出 / 地下水流動系 / 潮位変化 / 地下水-海水相互作用 / 季節変化 |
Research Abstract |
最終年度にあたる今年度は,これまでの研究成果について学会などにおいて発表するともに,さらに潮位変化と海底地下水湧出の関係を明らかにし,その湧出量について調査を行った. 今年度の調査により,以下のことが明らかになった. 海底地下水湧出形態には季節変化が存在し,非灌漑期と灌漑期とではその形態が大きく異なる.また,陸域の地下水流動系とその流出口にあたる海底地下水湧出との連続性について検討を行った結果,それぞれの地下水流動系とその湧出口との繋がりが,水質や地下水ポテンシャル断面によって明らかにされた.海底地下水湧出の湧出地点は,潮位変化にともなって移動する.その移動の仕方には二つのパターンが存在する.局所流動系の湧出地点は,干潮から満潮に潮位が変化する過程で,沖合から陸側に移動し,湧出量も増加する.一方,中間流動系・地域流動系の湧出地点は,海域の潮位の増加と海底下への海水進入の圧力によって,局所的に流動系の一部分が圧迫されることにより,強制的に上向きのポテンシャルを持った地下水が海底から湧出している.このような湧出形態を持つ地下水の湧出地点は,局地流動系の湧出地点が陸側に移動した後,同じ地点から湧出する傾向がある.このことは,海底からの湧出状況は海底に満遍なく分布しているわけではなく,選択的に湧出地点が分布していることを示している.海岸付近に見られる中間流動系・地域流動系の湧出地点は,それぞれの流動系の一部であると考えられ.本流の湧出口はさらに沖合に存在していると考えることが出来る. 以上のような潮位変化による海底からの湧出形態の変化は,将来発生すると考えられる地球温暖化による海水面の上昇が,地下水一海水相互作用に大きな影響を与える可能性のあることを示唆している.
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Research Products
(3 results)