2006 Fiscal Year Annual Research Report
大学・研究機関による実験排水の生物学的監視システムの開発
Project/Area Number |
17681004
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉村 知里 Kobe University, 環境管理センター, 助手 (60362761)
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Keywords | 大学・研究機関 / 実験排水 / 水質モニタリング / 重金属 / 排水管理 / 環境教育 / 原生動物 / バイオアッセイ |
Research Abstract |
現在開発中の原生動物を用いた実験排水の生物学的監視システムでは,タイヨウチュウ(Raphidiophrys contractilis)という原生動物の示す細胞の形態変化を,顕微鏡を用いて可視化し,さらにパソコンを用いて数値化することにより水質の指標を得ることを目的としている. タイヨウチュウの軸足が顕著に短縮する水銀濃度2×10^<-6>Mの試料水を用いて,タイヨウチュウと水質の関係を位相差顕微鏡で観察した.この方法(以下、位相差法と呼ぶ)では、タイヨウチュウを設置した測定セルにペリスタポンプを用いて試料水を流しながら,タイヨウチュウの様子をデジタルビデオカメラで観察した.また,自作解析ソフトウエアを使用し,顕微鏡画像のタイヨウチュウの軸足部分を強調処理した画像を用いて,径時的に軸足の変化を解析した.その結果,軸足は処理開始後約8分から徐々に短縮し,約15分後には軸足は消失した.軸足の示す輝度シグナルの強度は,軸足が短縮するより先に生じていた.その理由は不明だが,軸足の内部に生じた何らかの変化を検出したものと思われる. さらに,実体顕微鏡を用いた新たなシステムの開発も行った.このシステムでは,タイヨウチュウを暗視野照明下において低倍率で画像化し,視野内に存在する細胞数の変動をモニターすることにより,水質の変化を検出するという方法である(以下、暗視野法と呼ぶ).この方法では,軸足法で用いたものよりも光学系のシステムを安価で構築できるし,試料に対して正確にフォーカスを合わせることや,高倍率で細胞を観察する必要もないため,より実用的なシステムである.実際に水銀を用いて検証したところ,暗視野法も,位相差法と同程度の水銀に対する感度を持つことがわかった. また,実験排水(中和・曝気槽内の排水)を自動採水し,これらの生物学的監視システム装置に試料水を導入するための装置も試験開発した.
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Research Products
(1 results)