2005 Fiscal Year Annual Research Report
フーリエ変換型圧電素子光熱変換分光法による多層超薄膜半導体評価技術の開発
Project/Area Number |
17681014
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
福山 敦彦 宮崎大学, 工学部, 助教授 (10264368)
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Keywords | 多層超薄膜半導体 / 非破壊評価法 / 非発光電子遷移過程 / フーリエ変換 / 圧電素子光熱分光法 / 光吸収スペクトル |
Research Abstract |
本研究課題は、従来の光学的手法が測定してこなかった非発光電子遷移過程に注目し、それを高感度で検出することで、多層超薄膜半導体各層の光吸収スペクトルを非破壊かつ高感度に測定する手法を開発することを目標とした。研究者代表者らが新規開発・発展させてきた圧電素子光熱分光(PPTS)法では照射光の断続周波数変化によって深さ方向の情報が得られるが、その分解能は数百ミクロン程度が限界であった。ステップスキャン機能付きフーリエ変換型分光系(FTIR)の導入で様々の問題が解決され、深さ方向分解能が格段に向上することが期待できる。 まずはFIIRを新規導入し、FTIR-PPTS法を構築した。我々独自の検出器(圧電素子)を外部に設置し信号を取り込むよう制御システムの改編が必要である。この作業は納入業者との綿密な打ち合わせの元に行なった。 次に、PPTS法にて評価実績のあるGaAsとSi単晶試料を標準試料として用い、現行PPTS法とFTIR-PPTS法で一致したスペクトルが得られるかどうかの確認を行なった。発生した熱の熱拡散長が試料厚さと同程度になる条件での測定の結果、FTIR-PPTS法で得られる信号強度がPPTS法の信号強度の数倍〜数十倍になることが分かった。次年度以降に実施する予定の深さ方向解析においては深さ方向分解能が向上するにつれて、信号強度の指数関数的減少が予測されることから、今回のこの結果は期待通りであった。 FTIRの導入によってもたらされたもうひとつの効果として、対象試料の透過率および反射率を簡便且つ高感度に実施できたことが挙げられる。半導体材料中の非発光電子遷移過程を検出、解析する際には試料内部にどれだけの光エネルギーが取り込まれたかの情報が不可欠であり、同一試料の透過率および反射率の情報は解析結果の定量性に不可欠である。
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