2005 Fiscal Year Annual Research Report
医工融合による細胞診と染色体診のためのMEMS開発
Project/Area Number |
17681019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加畑 博幸 京都大学, 医学研究科, 科学技術振興助教授 (70293884)
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Keywords | マイクロマシニング / レーザ応用 / 細胞診 / DNA診断 / 染色体地図 / 膜蛋白質 / 電気浸透 / 細胞遺伝現象 |
Research Abstract |
ガン診断のマーカーには2つある。ひとつは細胞膜に裏打ちされているタンパク質の平面分布であり(例、ErbB2タンパク質)、残りが染色体高次構造内部に埋没されている遺伝子座の一元配列(例、myc部位)である。いずれも閉じた空間内に秘匿されているため外部から直接走査することができず、診断の足枷となっている。そこで本研究では、MEMS技術を駆使して、細胞膜を展開して膜内側構造を提示する技術、そして、染色体DNAを伸張(ファイバー化)して遺伝子を提示する技術の2つを開発する。 HeLa(ヒト子宮頸ガン)細胞由来の染色体に剪断力を印加したところ、HeLa染色体がファイバー展開されることを見出した。得られたHeLa染色体ファイバーの長さは2mm(6Mbp)と観察視野外にまで達しており、旧来の風乾ファイバー法に関して報告されている伸張限界の0.2mmを10倍超えていた。これは遺伝子解析の効率を10倍高めたことと同義である。得られたファイバーでFISH解析を行ったところ、HeLaの第7染色体のセントロメア部とEGFR部および両者のギャップ部の3者を高空間分解能で可視化することに成功した。 一方、基板上で細胞膜の裏打ち構造を露出させるため、フェムト秒レーザパルスによるMEL(マウス白血病由来)細胞の切開を試みた。本来、細胞は光無吸収性・応力抵抗性であるため膜の切開は困難であるとされてきた。この解決のため、細胞膜で2光子吸収を促進する工夫(蛍光色素を細胞膜に吸着させ、レーザ照射された蛍光色素から生じるラジカルやキャビテーションによる膜の破断)を施したところ、高分解能で部位選択的な細胞膜の切開に成功した。 現在、切開された膜片を基板上に固定して膜裏打ちを恒久的に露出し続ける機能をもったマイクロ構造物を作製しているところである。(775字)
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