2007 Fiscal Year Annual Research Report
多細胞生物様の細胞分化により誘導される野性型枯草菌のバイオフィルム形成機構の解析
Project/Area Number |
17681023
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小林 和夫 Nara Institute of Science and Technology, 情報科学研究科, 助教 (70324978)
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Keywords | バイオフィルム / 枯草菌 / 鞭毛形成 / 糖代謝 |
Research Abstract |
1.鞭毛形成と共役したペリクル形成開始の制御motAやhag遺伝子など鞭毛形成後期遺伝子の欠損株では、ペリクル形成の遅延が見られる。それらの変異株では、ペリクル形成開始に必要な転写因子SlrRの活性が低下していた。また、枯草菌実験室株では、SlrR制御下の遺伝子群の発現が低下していることを見出し、その原因を探った結果、実験室株ではSlrAと名付けた遺伝子の発現が低下していることが明らかになった。SlrAは、SlrRのC末端側のドメインと高い相同性を持つこと、slrA欠損株では、SlrRの活性が消失することから、SlrAはSlrRと複合体を形成して機能していると考えられた。motAやhag変異がSlrR/SlrAにどのように影響するのかさらに解析を進めている。 2.DegUによる代謝制御 枯草菌のペリクル形成は、炭素源の量に依存して促進される。野性株を1%グリセロールを含む培地で培養した場合、対数増殖期には、炭素源の消費に伴い生じる酢酸などの酸の分泌により培地pHが低下し続けるが、定常期にはいるとTCA回路の活性に依存して培地pHが中性になる。しかし、degU変異株では,定常期に培地pHが酸性化じ、degUが糖代謝に何らかの役割を果たしていることが示唆された。しかし、degU変異では、解糖系、TCを構成する遺伝子群の発現に大きな影響は見られなかった。培地pHが酸性になると、定常期に活性化するシグマ因子σHが、不安定化するが、degU変異株でも、σHで転写されるkinA,spoVGの発現が低下していた。また、spoVG変異株では、degUと同様に、定常期に培地pHの低下が見られた。このことから、σHの活性化自体が定常期のpH上昇に必要であること、DegUがσHの活性化に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)