2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17681025
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松山 晃久 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 研究員 (90399444)
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Keywords | プロテオーム / 翻訳後修飾 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
ゲノムDNAの塩基配列の決定はタンパク質の研究方法に大きな変化をもたらした。現在のポストゲノム研究の多くはこのゲノムDNAの配列に基づき、主に質量分析によって細胞内に存在するタンパク質の網羅的同定、すなわちプロテオーム解析を中心に行われている。しかし、研究対象があまりにも巨大であるのに加え、多くのタンパク質が何らかの翻訳後修飾を受けていると考えられることから、タンパク質の同定はできても、その先の機能研究まで行うのはなかなか容易ではない。実際に翻訳後修飾は機能と密接に関連していることが少なくなく、これまでに約300種類もの翻訳後修飾が報告されている。そこで本研究では、特定の翻訳後修飾を受けているタンパク質を網羅的に同定することで、タンパク質の翻訳後修飾研究の基盤を作ることを目指した。 分裂酵母はこれまでに全ゲノム配列が明らかにされた真核生物の中でもっとも遺伝子数が少なく、長年の研究で洗練されてきた遺伝学的な手法と相まって、ポストゲノム研究において非常に有用なモデル生物である。初年度はこの分裂酵母の全タンパク質を個別に精製し、特定の翻訳後修飾特異的な抗体で検出するためのプロテインアレイを作製すべく、試料の調製法の開発に尽力した。具体的には分裂酵母の全遺伝子を過剰発現可能なnmt1プロモーターの制御下におき、3'末端にFLAGおよびHis_6タグを融合させたものをそれぞれ個別に染色体に挿入した株約5,000株を培養してタグ融合タンパク質の発現を誘導した後、それぞれをニッケル・ビーズで精製するための方法を検討した。未だハイスループット化には至っていないが、タンパク質の個別の精製ではウェスタンブロッティングで発現が確認できるタンパク質のほとんどをかなりの純度で精製できるようになった。
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