2006 Fiscal Year Annual Research Report
脂質ラフトなどの低親和性複合体における分子間相互作用解析
Project/Area Number |
17681027
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松森 信明 大阪大学, 理学研究科, 助手 (50314357)
|
Keywords | 生体膜 / NMR / 脂質ラフト / 分子認識 |
Research Abstract |
細胞膜は脂質ラフトと呼ばれる微小領域を形成している。この脂質ラフトはコレステロールやスフィンゴミエリン(SM)に富んでおり、膜輸送や膜を介した情報伝達に中心的な役割を果たしている。しかし、その生成と崩壊を繰り返すダイナミックな過程ゆえ、ラフトにおける脂質分子間の相互作用はほとんど解明されていない。一方で、すでに代表者は脂質膜中でステロールと会合しイオンチャネル複合体を形成する抗生物質アンフォテリシンB(AmB)に着目し、その複合体構造について検討してきた。本研究では、AmBの複合体構造を解明し、その方法論をラフトにも適用することでラフトにおける分子間相互作用を解明することを目指す。 (1)AmB分子間相互作用の解析:AmBチャネルの構造解析に関しては、新たな^<19>F-AmBの調製に成功し(土川ら2006)^<13>C-AmB-^<19>-AmBにおける^<13>C-^<19>F原子間距離を固体NMRから導出し、AmB同士の分子間相互作用を明らかにした(論文準備中)。さらに重水素化AmBの調製に成功し、重水素固体NMRを用いて脂質中での運動性や配向を決定した(論文準備中)。 (2)ラフト構成分子の標識化および固体NMR測定:ラフトの構成要素のひとつであるコレステロールについては、6位の水素を^<19>Fに置換したコレステロールがラフトを形成することを明らかにした(論文準備中)。さらに、SMに対しても前年度の^<13>C,および^<15>N標識体に続き、^<19>F標識体合成にも成功し、この^<19>F標識体もラフトを形成すること明らかにした。現在これらの標識体を用い、^<13>Cコレステロール-^<15>N-SM、^<19>Fコレステロール-^<13>C-SM、^<19>F-SM-^<13>コレステロール、さらに^<19>F-SM-^<13>C-SM間の距離測定を行っている。また、重水素化SMの合成にも成功し、ラフトにおけるSMの運動性について検討している。
|