2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂質ラフトなどの低親和性複合体における分子間門互作用解析
Project/Area Number |
17681027
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松森 信明 Osaka University, 理学研究科, 助教 (50314357)
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Keywords | 生体膜 / NMR / 脂質ラフト / 分子認識 |
Research Abstract |
細胞膜はコレステロールやスフィンゴミエリン(SM)に富んだ脂質ラフトと呼ばれる微小領域を形成しており、膜輸送や情報伝達に重要な役割を果たしている。しかし、ラフトにおける脂質分子間の相互作用は未解明のままである。一方、代表者は脂質膜中でステロールと会合しイオンチャネル複合体を形成する抗生物質アンフォテリシンB(AmB)に着目し、その複合体構造について検討してきた。本研究では、AmBの複合体構造を解明し、その方法論をラフトにも適用することでラフトにおける分子間相互作用を解明ずることを目指す。 (1)AmB分子間相互作用:AmBチャネルの構造解析に関しては、^<13>C-AmBと^<19>F-AmB間の距離を固体NMRから導出し、AmB同士の分子間相互作用を詳細に検討した(論文準備中)。またAmB-ステロール連結分子の固体NMR距離測定から、AmBとステロール間の相互作用を明らかにした(Chemistry 2008)。またAmBの膜モデル中での配座解析にも成功した(JOC2008)。さらに重水素化AmBを用いた重水素固体NMRを測定し、脂質中での運動性を決定するとともに、ステロールとの相互作用を直接観測できた(論文準備中)。このようにAmBチャネル構造を多面的に解析し、その全体像に迫ることができた。(2)ラフトにおける分子間相互作用:コレステロールについては、6位水素を^<19>Fに置換したコレステロールがラフトを形成するこどを示し、その動的挙動を解析した(JACS2008)。さらに、SMに対しても前年度までに調製した^2H,^<13>C,および^<19>F標識体を用い、SMの膜中での運動性や配向の解析に成功し、さらにSM-コレステロール間およびSM同士間の分子間距離測定にも成功した。この結果、脂質ラフト形成は、従来考えられていたSM-コレステロール間よりも、SM同士の相互作用によることを明らかにした。
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