2007 Fiscal Year Annual Research Report
モザンビークの脱植民地化過程が周辺諸国に与えた影響に関する研究
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17681028
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
舩田クラーセン さやか Tokyo University of Foreign Studies, 外国語学部, 准教授 (70376812)
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Keywords | 東南部アフリカ / アフリカ現代史 / 脱植民地化 / 国際関係 / 人の移動 / モザンビーク / タンザニア / イスラーム |
Research Abstract |
本研究は、モザンビーク北部を基点とし、同地域と関係の深い隣国タンザニアでの一次史料収集および聞き取り調査を通じて、脱植民地化期におけるアフリカ東南部の政治動熊に関する「新しい地域史」記述に挑戦することを意図して実施された。3年間の調査では、タンザニア・モザンビーク両国での現地調査に加え、元宗主国(英国・ポルトガル)での公文書および新聞などの史料調査を実施した。 以上の調査から(1)解放闘争が盛んになる以前の1950年代半ばまでの期間にかなりの規模で行われた、モザンビーク北部住民のザンジバル・タンガニーカへの出稼ぎの実熊、(2)1960年代初頭のザンジバル・タンガニーカ独立が、モザンビーク北部に与えた影響、(3)モザンビーク解放闘争がザンジバルやタンガニーカの政治変動に与えた影響、が明らかになった。他方、残念ながら、当初意図していたマラウイの調査までは実施することができなかった。 調査結果について要点だけ述べる。ザンジバル・タンガニーカ南部・モザンビーク北部の住民は、出稼ぎ活動やイスラーム教の伝播と浸透を通じて、相互に関係を深めていた。タンガニーカで発達した植民地支配からの解放の思想は、この相互関係の中で広まっていった。ただし、本国の独裁政権を支える上で不可分となっていたポルトガルの植民地モザンビークの解放は容易ではなく、武力による脱植民地化が不可欠となった。したがって、先に独立を達成したザンジバル・タンガニーカ(1964年にタンザニアとして総合)のモザンビークの解放運動支援は重要な意味を持ち、モザンビーク解放闘争はタンザニアを拠点としてモザンビーク北部に浸透していった。対するポルトガル植民地権力は、モザンビーク北部に軍事拠点を置いて容易に支配を手放そうとしなかったばかりでなく、タンザニア内部の政治問題に介入していった。このことから導き出せる結論は次のとおりである。「アフリカ南東部の歴史におけるモザンビーク解放闘争の影響の重要性を示唆しており、その視点にたって新しく歴史が記述されるべきである。 以上の研究結果は、別途記載している業積で一部発表した他、2008年度にまとまった形で発表する予定である。
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Research Products
(4 results)