2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17681029
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
山田 肖子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (90377143)
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / ケニア:タンザニア:エチオピア / 民主化 / 教育政策 |
Research Abstract |
本研究では、民主化プロセスの只中にあるアフリカ諸国において、教育が市民意識の醸成、エスニシティや文化的背景の違う人々との共生、間接民主制への投票を通じた参加の方法、などに対してどのような役割を果たしているかを調査している。 初年度である平成17年度は、準備段階に時間をかけ、4月から7月は、主に国内で関連文献のレビューを行った。夏以降は、文献分析によって得た基礎的認識に基づいて、エチオピア、タンザニア、ケニアの研究者とEメールや電話で意見交換を行った結果、初年度のケーススタディは、選挙監視に市民が活発に参加するなど、東アフリカで最も民主化が進んでいる国の一つであるケニアにて行うことと決めた。海外共同研究者として、ケニアッタ大学教育学部・教育政策学科長のファトゥマ・チェゲ教授の参加を得、フィールド調査を行った。調査は大きくインタビューと学校調査に分かれており、9月から12月は、主に教育省、援助機関、大学、NGOなどで、市民教育に関わりの深い人々にインタビューを行った。1月以降、実際に市民教育が行われている学校や社会教育の場を訪問しての参与観察に着手したが、ケニアでの市民教育は、はっきりしたカリキュラムで定期的に行われるものはあまりなく、NGOなどが主体となって青少年活動などの一環として行う場合が多いため、参加のタイミングが難しく、当初見込んだよりも調査に時間がかかっている。平成18年度は、他国での比較調査の可能性も模索しつつ、ケニアでの調査を継続する予定である。 市民教育の考え方は、欧米で発展したため、確立した国民国家の枠組みの中での市民の人権としての多文化共生や民主主義を基礎としているが、アフリカでは、市民教育の発想自体を考え直さなければならないと思われる場面が多々あり、今後研究を深める中で、理論的検証も行っていきたいと思っている。
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