2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17682001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本間 直樹 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 講師 (90303990)
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Keywords | 子どもの哲学 / 対話 / 哲学教育 / ワークショップデザイン / 絵本研究 / 媒介ツール |
Research Abstract |
初年度は、欧米において展開されている<<Philosophy for Children>>に関する調査、資料収集と文献研究を行うとともに、M・メルロ=ポンティ、J・ラカン、F・ドルトらの言語と身体、身体と表象に関する研究をはじめとして、J・ピアジェやH・ワロンなどの発達心理学に関する批判的検討、J・デューイの教育哲学、ヴィゴツキーの発達の最近接領域論について、理論的な検討も行った。特にワロンやヴィゴツキー研究は、心理学に留まらず、言葉と思考の関係、対話の意味を考察する上で重要な役割を果たすことが明らかになり、来年度も継続して研究する予定である。 また、実際の調査では、従来の子どもの研究、とくにフランスにおいて実践されている、小学生向けのプログラムの実地調査を行うほか、そうしたプログラムにおいて使用されている教材についての収集・分析を行った。とくに教室やワークショップにおいて、子どもたちが有効に対話を行うために、こうした教材や素材は欠かすことができない。多くのこうした教材には「絵本」という形式が採用されているが、この形式は、親しみやすさ、分かりやすさのみならず、感性的直観を介して、感覚と自分自身、言葉と感覚を比較しつつ、他者と自分との対話を媒介するものとして役立つことが大いに注目される。これについては、「死」、「生命」、「老い」など普遍的なテーマを扱った国内外の絵本についてのワークショップを数回開催し、それらを活用した対話の実地検証や、対話の方法論の探究を行った。こうした準備を活かし、次年度は、対話を媒介するツールとしての有効性が明らかとなるものについて、資料集を作成し、様々な現場での活用を試みる予定である。
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