2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17684001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤野 修 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (60324711)
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Keywords | 極小モデル / トーリック多様体 / クライマン森コーン / 射影性 / フリップ / 標準環 |
Research Abstract |
今年度は主にトーリック多様体の森理論を研究した。クライマン森コーンが病的な性質を持つ例をトーリック多様体の世界で具体的に構成してみせた。出来てしまえば何と言うことのない例であるが、あまり表立って述べられたことのない例だったと思う。既に出版済みである。この例から派生した問題であるが、非自明なネフ直線束を持たない3次元非特異完備トーリック多様体の完全分類をミシガン大学の大学院生Sam Payne氏と共同でおこなった。外国人とメールだけのやり取りで共同研究をするのは初めての経験であった。貴重な経験を積めたと思う。 今年度は我々の分野の大予想の一つであるフリップ予想Iが、ある意味解決された。ヘイコンとマッカーナンによる証明が出現した後、彼等の証明の細部を詰める作業を著者と頻繁に連絡を取りながらおこなった。自分の研究業績にならない事に莫大な時間を費やしてしまった感があるが、良い勉強になったと前向きにとらえたい。大予想の一つが解決されたので、今後の私自身の研究計画は若干の変更が必要になるかもしれない。 科学研究費の大半は三度の海外出張に用いた。そもそもアメリカのジョンスホプキンス大学で行われたJAMI(日米数学研究所)に参加するための旅費と滞在費の確保が今年度の科学研究費獲得の主な目的だったので、予定通りである。JAMI、第50回代数学シンポジウム、Algebraic Geometry and Beyond(京大数理研での国際研究集会)等で講演もおこなった。 ヘイコンとマッカーナンに先に大予想を解決されてしまった点以外は非常に良い一年であったと思う。 最後に、裏面にあげた論文内でGrant-in Aid for Scientific Researchから援助を受けたと書いたが、Grant-in-Aid for Young Scientists (A)の間違いである。今後は気をつけたい。
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