2006 Fiscal Year Annual Research Report
回転球面上渦運動の新しい高速・高精度数値計算法の開発とその数理解析
Project/Area Number |
17684002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂上 貴之 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (10303603)
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Keywords | 渦運動 / 地球流体 / 高速アルゴリズム / 力学系 / Contour Method / 回転流体 |
Research Abstract |
本年度の研究計画に基づき,回転球面上の渦運動の理論的・数値的研究を推進した.具体的な研究実績は以下の通りである. (1)球面のN点渦糸環の運動に関する不変力学構造の研究 N個の渦点が球面の赤道上に等間隔に並んだ配置(N点渦点環)の運動について,昨年度行った安定性解析の結果を用いて,その中に含まれる不変部分力学系の構造を数学的に明らかにした.その結果,Nの整数としての性質(約数)に応じて不変力学系が存在することが示された.このことは.すなわち素数個の渦の場合は不変な力学系は存在しないが,2の冪の場合は多くの不変な力学系が存在するといった具合に,渦点の個数に応じてその挙動が大きく異なることを示唆している.本結果は論文誌PhysicaDに掲載済みである. (2)回転球面上における渦点系の運動 渦点の運動に球面の回転が与える効果を調べるため,剛体回転の渦度分布を球面に与えた中にN点渦点環を配置した時の相互作用時間発展を数値的に調べた.数値計算法は,この方向でよく用いられる等渦度帯領域近似に基づくContour Methodである.その結果,渦点環自身が持つ回転運動が背景流のロスビー波の影響でいったん方向を変えられた後,再び背景渦の渦度を渦点環が巻き取ることで,もとの運動を回復するというものである.この知見は新しいものであり,また,これまで極渦近似で行っていた回転流の影響についてさらに理論的精密化を促す結果となった.本研究は南カリフォルニア大学Paul Newton教授と共同で行われ.すでにProc.Roy.Soc.に掲載が決定している. (3)球面渦点系の高速計算アルゴリズムの開発 テイラー展開に基づいた,N点渦の相互作用の高速,高精度計算評価アルゴリズムの開発を実施し,その開発に成功した.来年度の本格的な運用に向けて現在多くのテストを行っている.
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