2005 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙の大規模構造研究のための視野の広いX線望遠鏡の開発
Project/Area Number |
17684003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小賀坂 康志 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10324386)
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Keywords | X線望遠鏡 / 硬X線望遠鏡 / 広視野光学系 / 大規模構造 / 斜入射光学系 / X線天文衛星 / 気球実験 / 多層膜 |
Research Abstract |
本研究は、広い視野を持つX線結像光学系を開発し、これをX線天体観測に応用しようとするものである。その背景には空間的広がりを持つ天体の観測研究の重要性があり、既存技術はそのような要請に対して圧倒的に遅れている。これまでの研究成果に立脚し、従来のX線望遠鏡に欠けていた「視野」というベクトルを伸ばし、宇宙の大規模構造の研究が行なえるX線望遠鏡の開発を行なう。 平成17年度においては、まず望遠鏡製作のための基礎技術開発のための設備の拡充を行った。現在のアルミ薄板基板鏡は、弾性限界の問題から、レプリカ鏡製作過程において形状誤差を導入し易い。また剛性の問題により、製作後の形状が不安定であり、望遠鏡の結像性能の主たる制限要素となっている。そこで本研究では、衛星計画への搭載で重要視される重量効率も併せて解決すべく、マグネシウムとガラス素材に着目し、基板成型技術の開発研究を行った。いずれの材料についても薄板レプリカ反射鏡の製作を行い、従来基板を上回る形状精度を得ることができた。 これと並行し、放射光施設における従来型硬X線望遠鏡の特性評価を通じて評価実験技術の確立を行った。研究の目的である広視野光学系の開発のためには、同時に光学系の評価技術を確立しなければならない。硬X線領域では良質の光源を得ることが難しく、放射光施設における大規模実験にならざるを得ない。多岐に渡る評価実験技術の中でも本研究では特に、視野の評価のための硬X線照射方法、望遠鏡開口走査の方法などを開発し、既存の硬X線望遠鏡を用いて視野の評価を行った。これにより開発する光学系の評価手法が確立された。 来年度は、いよいよ広視野光学系の基本設計と望遠鏡構造体の設計・製作に着手し、結果が良好であれば硬X線評価を行う。
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Research Products
(3 results)