2006 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙の大規模構造研究のための視野の広いX線望遠鏡の開発
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17684003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小賀坂 康志 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (10324386)
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Keywords | X線望遠鏡 / 硬X線望遠鏡 / 広視野光学系 / 大規模構造 / 斜入射光学系 / X線天文衛星 / 気球実験 / 多層膜 |
Research Abstract |
本研究は、広い視野を持つX線結像光学系を開発し、これをX線天体観測に応用しようとするものである。その背景には空間的広がりを持つ天体の観測研究の重要性があり、既存技術はそのような要請に対して圧倒的に遅れている。これまでの研究成果に立脚し、従来のX線望遠鏡に欠けていた「視野」というベクトルを伸ばし、宇宙の大規模構造の研究が行なえるX線望遠鏡の開発を行なう。 前年までの研究結果に基いて平成18年度においては、特に硬X線望遠鏡の視野の詳細な評価を行った。前年度において放射光施設における実験技術を確立したので、これを駆使し、多重薄板硬X線望遠鏡の有効面積及び結像性能の非光軸光に対する応答を詳細に測定した。この結果はまず、理想条件を仮定し解析的に求めた計算結果と比較し、有効面積の応答を定性的によく再現できることを確認した。定量的には、反射鏡形状誤差等に起因する幾何学面積の低下を考慮する必要があり、次段階として、数値シミュレーションによって再現を試みる。 次に、視野の制御技術開発の一端として、硬X線望遠鏡の光学調整技術を開発した。これまで試みられていない方法として、放射光施設を積極的に利用し、X線集光像をモニターしながら光学系調整実験を行い、その技術を確立した。これによって、反射鏡保持機構の位置決め誤差による結像誤差を大きく低減することができた。保持機構の制御精度はおおよそ1ミクロンのオーダーであり、望遠鏡視野の制御において必要とされる高精度の光学調整のための基礎技術を確立することができた。 また、広視野望遠鏡のための望遠鏡鏡筒部の設計製作を開始した。 最終年度である来年度は、広視野光学系の製作と性能評価を行う、最終成果とする。
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