2005 Fiscal Year Annual Research Report
常設1露出型可視偏光撮像器による高エネルギー天体現象の研究
Project/Area Number |
17684004
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川端 弘治 広島大学, 宇宙科学センター, 助手 (60372702)
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Keywords | 宇宙科学 / 宇宙物理 / 光学赤外線天文学 / X線天文学 |
Research Abstract |
本年度は、本研究計画の主要設備である1.5m望遠鏡の改造・移設調整作業が完了する平成18年秋に観測を開始する体制を整えるため、以下の通り実施した。 (1)本偏光器の心臓部にあたり且つ納期に最も時間を要するものはダブルウォラストンプリズムである。ナスミス観測装置の主レンズ・トレインの設計が完了した8月より、光学設計ソフトZEMAXおよび3次元CAD Solid Worksを用いてウォラストンプリズムの設計を行った。当初は複屈折性の大きい方解石を用い7分×7分視野を縦2×横2の4つの偏光成分に分割するよう検討したが、色収差の解決が困難であることが判明した。そこで、フッ化マグネシウムを用いて1分×15分視野を縦に4つ分割するプリズム構成とし、さらに上面に色消し用の合成石英製のウェッジを入れることで、色収差が極めて少ない良好な結像が得られるものとした。また-20℃から+30℃の環境に本プリズムが耐えるための接着剤選定の試験を行い、4種の中から光学的にも良好な1種を選定した。アルミ合金製ホルダーも設計した。以上の品は無事製作が行われ、18年3月に納入された。 (2)冷却CCDカメラをlinux PCから制御する試験を行った。ソフトウェアからの制御命令を整理し、次年度の光学調整を遅滞なく行うことができるよう準備を行った。 (3)ウォラストンプリズムおよび較正用半波長板をナスミス観測装置に組み込むためのステージの設計を行った。ウォラストンプリズムを瞳像の収差(450-1100nmで52μm)以下の精度で固定するための工夫を施した。 本年度末に予定していたナスミス観測装置への組み込みと天文台への搬入は、観測装置の組上げ及び天文台竣工がそれぞれ18年7月及び3月末と延期になったことも影響し完了できなかった。これらは来年度夏頃までに済ませたい。そして、望遠鏡の据付調整が完了する18年秋より試験観測を開始し、本観測に向けた装置全体の調整を行う予定である。
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