2005 Fiscal Year Annual Research Report
大規模数値計算による初期宇宙での構造形成と銀河間物質の再電離過程の研究
Project/Area Number |
17684008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 直紀 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90377961)
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Keywords | 宇宙物理 |
Research Abstract |
本年度は第一世代星の形成とフィードバック効果について主に研究をおこなった。研究内容は大きく以下の2つに分けられる。 (1)はじめに、個々の第一世代星がその進化の過程で分子ガス周辺に及ぼす影響を研究した。具体的には紫外光を放射することにより分子雲を解離、電離する様子の宇宙論的シミュレーションを行ない、一旦電離されたガスが再び冷却・凝縮されていく様子をくわしく調べた。はじめに中性であったガスが冷却される場合と比較し、分子形成が促進されるために冷却率も大きくなり、より低温の分子ガス雲が形成されることをしめした。この内容は2005年5月に米国での国際学会において、また7月のドイツでのワークショップにおいて発表し、前者の学会紀要として出版した。また、進化の最終段階で超新星爆発をおこす場合について、放射冷却と化学反応を含めた球対称の計算をおこなった。爆発のエネルギーと母体ガス雲の破壊効率の対応を詳細に調べ、計算結果に基づいて解析的なモデルを構築した。この結果をアストロフィジカルジャーナル誌にて発表した。 (2)8月以降は第一世代星形成そのものの研究を主におこなった。これまでは、分子雲が形成されて以降はその中で、ある一定の質量分布をもつ星(々)が形成されると仮定していたが、この仮定をとり除くため、シミュレーションの空間分解能を高める手法を取り入れ、ガス塊が実際に重力不安定になり、収縮・崩壊をおこすにいたるまでの様子を調べることができるようになった。これにより、紫外光のトータルの放出率等についてより具体的な見積もりをおこなうことができるようになった。この手法の詳細については2006年3月に和歌山大学にておこなわれた日本天文学会春季年会にて発表した。
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Research Products
(5 results)