2005 Fiscal Year Annual Research Report
超低温走査プローブ法による2次元電子系の磁場中局所状態密度観測
Project/Area Number |
17684011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神原 浩 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00313198)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 低温物性 / 半導体物性 / 表面・界面物性 / 量子ドット |
Research Abstract |
グラファイトおよび半導体という異なる2つの2次元電子系において、その高磁場中における特異な電子状態-量子ホール状態と端状態-を、超低温走査トンネル顕微/分光装置(ULT-STM/STS)を用いて実空間観測による研究を行っている。 高配向性熱分解グラファイト(HOPG)試料では、磁場中で状態密度の非常に明確なランダウ量子化を観測した。ランダウ準位間のエネルギーでは不純物周りに局在した電子状態があること、またランダウ準位のピークに対応したエネルギーでは一様に拡がった電子状態があることを観測した。これらは不純物のつくるポテンシャルを考慮した理論計算結果と半定量的によく一致し、各ランダウ準位間ではそれぞれの基底状態に対応した電子状態が観測されていることが分かった。これはHOPG表面で量子ホール状態が実現していること、そこで重要な局在-非局在状態をSTMで初めてナノスケールで可視化することに成功したと言える。 一方、半導体2次元電子系試料は、NTT基礎研平山グループで分子線エピタキシャル法によりGaAs(111)AおよびInAs(111)A上に成長させたInAs薄膜で、まずULT-STM内で砒素保護膜を除去して2次元電子系を再現するための条件を整理した。その結果、2次元電子系の存在するエネルギースケールが両者で大きく異なること、またGaAs上のInAsでは磁場によるランダウ量子化が観測されたが、InAs上のInAsではそれが観測されず、高いエネルギーまで状態密度がバイアス電圧に比例していることなどが分かり、基盤の違いによりInAs表面上に形成される電子状態が大きく異なることをまず実験的に明らかにした。
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Research Products
(6 results)