2006 Fiscal Year Annual Research Report
光ナノプローブによる単一カーボンナノチューブの光物性の探索と量子光デバイス応用
Project/Area Number |
17684012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 一成 京都大学, 化学研究所, 助教授 (40311435)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 励起子 / 発光ダイナミクス |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブは理想的な1次元構造をもち、光学的性質(光物性)に興味が持たれている。しかし、ナノチューブは直径や螺旋度によって光物性が著しく異なり、マクロな光学測定だけからでは十分な情報を得ることができない。そのため、光物性の解明には高い技術が要求される一本のナノチューブでの分光測定が必要である。一方で、ナノチューブのような1次元電子系でわずかな構造的な乱れがあれば量子状態は局在し、0次元状態になることが期待される。そこで、単一カーボンナノチューブ分光や時間分解分光などをツールとして、1次元性ならびに構造的な乱れに起因する0次元状態を積極的に利用し、カーボンナノチューブの新しい光物性・機能性の発現や量子光デバイス応用を探ることを目的としている。 本年度は、アルコール気相成長装置を立ち上げSi基板上に架橋した単層カーボンナノチューブを作製することが可能となった。また、カーボンナノチューブの発光ダイナミクス、磁場中での発光スペクトル測定、単一ナノチューブ分光の研究を行った。まず、フェムト秒発光相関時間分解分光法をナノチューブの測定に適用し、溶液ならびにゼラチンマトリックス中での発光ダイナミクスを調べた。その結果、ナノチューブの励起子状態の発光寿命は、数10psと数ns以上続く二つの成分が存在することがわかった。さらに、短い寿命成分は溶液中かゼラチンマトリックス中かによって、その寿命が異なり、ナノチューブが置かれた環境に応じて変化することがわかった。さらに、7Tまでの磁場中での発光測定を行ったところ、低温において磁場の増加とともに発光強度が増加する様子が観測された。これは、磁場によって光学禁制な状態が一部許容となり発光強度の増加に寄与していると考えられる。来年度以降その詳細なメカニズムを理解するために、磁場中での単一ナノチューブの発光測定を行う予定である。
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Research Products
(3 results)