2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17684014
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田口 康二郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70301132)
|
Keywords | 超伝導 / 電子格子相互作用 / インターカレーション / 層状構造 / 相分離 / 少数キャリア / 動的クーロン相互作用 / プラズモン |
Research Abstract |
本年度は、Liをドープした一連のLixZrNCl試料合成に成功した。まず、x<0.12の低ドープ域の試料は、Liインターカレーションを行った後に、600℃、封管中で30分アニールすることによって相分離が抑制され、単相試料が得られることが分かった。また、xが0.16から0.31までの高ドープ域の試料に関しては、ブチルリチウム-ヘキサン溶液とZrNClとの反応を室温で24時間行ったあと、溶液を3時間70℃に保つことによってLiのインターカレーションが行われることが明らかになった。これらの試料は、全て、SPring-8の放射光X線を使って単相であることを確認した。この粉末X線回折実験から求めた格子定数は、a軸、c軸ともにLi濃度とともに連続的に増大しており、この系が固溶体を形成することが明らかになった。また、室温でラマン散乱を行ったところ、Liドーピングとともに全てのフォノン線が低ラマンシフト側にシフトしており、このこともLiが連続的かつ一様にインターカレーションされていることを示している。さらに、フォノンの周波数は、0<x<0.31のドーピング域で、最大で7%低下することが明らかになった。これらの試料に対して抵抗率と磁化の測定を行ったところ、x=0.06付近で絶縁体から超伝導体に転移することが明らかになった。また、xの大きなところからxを減少させていくと、超伝導転移温度は極めて緩やかに上昇するが、x=0.12以下で急激に減少し、x=0.06で最大値15.2Kをとる。その後、x=0.05で絶縁体へと転移する。このようなアンダーソン絶縁体との相境界におけるTcの上昇は極めて異常であり、少数キャリア系における動的クーロン相互作用、すなわちプラズモンがTcの増大に寄与している可能性を示している。
|
Research Products
(6 results)