2005 Fiscal Year Annual Research Report
ネプツニウム化合物の純良単結晶育成とドハース効果による電子状態の解明
Project/Area Number |
17684015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 大 東北大学, 金属材料研究科, 助手 (30359541)
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Keywords | 超ウラン化合物 / ドハース・ファンアルフェン効果 / フェルミ面 / 5f電子 / 重い電子状態 / フラックス法 |
Research Abstract |
超ウラン化合物は強い放射能を伴うために取り扱いが難しく、これまで純良単結晶を用いた物性研究はほとんど存在しない。本研究では、まずNpO2を原材料として水溶液電解法により高純度Np金属を調製した。約99.9%の純度を持つ。得られたNp金属を用いて、フラックス法によりNpRhGa5、NpPtGa5、NpGe3、NpIn3の純良単結晶育成に成功した。全ての試料に対してドハース・ファンアルフェン効果を観測し、5f電子状態を明らかにした。 このうちNpRhGa5の反強磁性状態でのフェルミ面は、4種類の円柱状フェルミ面から成り立ち、5f電子を遍歴としたバンド計算ときわめて良く一致する。一方、同じ5f電子はNpの位置に局在して反強磁性の磁気モーメントを担っている。すなわち5f電子が遍歴と局在の二重の性質を持つことを超ウラン化合物で初めて明らかにした。 一方、NpGe3はNp化合物の中では珍しい常磁性体であり、フェルミ面は5f電子を遍歴としたバンド計算と良く一致する。しかし、サイクロトロン有効質量は3〜16m0と大きく、重い電子状態を形成している。とくにR点中心に存在する中空の球状フェルミ面は大きなサイクロトロン質量を伴う。これは5f電子の寄与が90%程度と大きいためであり、バンド計算によってもそのことが確認された。 NpIn3についても磁化測定、ドハース・ファンアルフェン効果の測定を行った。NpIn3は5f電子が比較的よく局在した物質であり、強磁性、反強磁性の複雑な磁気相図を持つ。またフェルミ面はLaIn3と似ていることが分かった。
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