2006 Fiscal Year Annual Research Report
ネプツニウム化合物の純良単結晶育成とドハース効果による電子状態の解明
Project/Area Number |
17684015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 大 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30359541)
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Keywords | ネプツニウム化合物 / ドハース・ファンアルフェン効果 / フェルミ面 / 遍歴 / 局在 / 5f電子 / 重い電子状態 |
Research Abstract |
酸化ネプツニウムNpO_2を原料としてNp金属を水溶液電解法で調製し、フラックス法および気相成長法によってネプツニウム化合物の純良単結晶を育成した。ドハース・フランアルフェン(dHvA)効果を観測することでネプツニウム化合物の5f電子状態を明らかにした。17種類の純良単結晶育成に成功した。 このうちNpPtGa_5は、重い電子系超伝導体PuRhGa_5と同じ正方晶の結晶構造を持つ新奇ネプツニウム化合物である。ネール点26Kで反強磁性秩序を示し、低温では大きな電子比熱係数を持ち、重い電子状態を形成する。dHvA効果の測定により、反強磁性状態で円柱状フェルミ面が存在することがわかった。サイクロトロン有効質量は17〜21m_0とNpTGa_5(Tは遷移元素)の中でも最も大きい。詳細な磁気相図を決定し、磁気モーメントがc面内を向いでいることを明らかにした。 また超ウラン化合物としては初のスクッテルダイト化合物、NpFe_4P_<12>の育成に成功した。キュリー点23Kで強磁性転移を示し、磁気モーメントは自由イオンの磁気モーメントの三分の一である。磁気モーメントの向きは立方晶の<100>方向を向いている。30K付近でなだらかな山を持つ特徴的な電気抵抗を示す半金属である。5f電子は局在して5f3の電子配置を持つ。伝導電子の数は偶数であり、電子の数と正孔の数が同数の補償金属である。ネプツニウム化合物の5f電子は一般に遍歴しており、NpFe_4P_<12>の特異な電子状態はスクッテルダイト化合物の特徴的なカゴ状構造によるものと考えられる。
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