2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ電界放射型X線管球を用いた超小型X線蛍光・回折分析器の開発
Project/Area Number |
17684024
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
岡田 達明 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 助教授 (30321566)
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Keywords | カーボンナノチューブ / X線管 / 電界放射 / X線蛍光 / X線回折 / 惑星探査 / 宇宙機器 / 物質分析 |
Research Abstract |
本研究は、新素材カーボンナノチューブ(CNT)の応用によって小型軽量化が可能となる宇宙探査機搭載用X線管を1次X線源として用いる月惑星探査用X線蛍光回折分析器の開発を目的とする。その目的の実現に特に重要なのが、X線管の小型化技術である。計画2年目の平成18年度は、前年度に行った設計を基にX線管の試作を行った。CNTを陰極、陽極のターゲットをCuとし、両極管のグリッドなしの単純構造で、本体部の直径20mm、長さ40mmとした。グリッド挿入型(試作2号機)と部品を共通化するためにこのサイズとしたが、半分程度のサイズに製作することは製造技術的に可能である。 試作1号機を用いた動作試験を実施し、ほぼ設計どおりの性能が得られた。負荷電圧約3KVからX線の発生が始まり、電圧増加とともに強度が増すが、その変化率が理論式とほぼ一致することが示され、動作の正常が確認できた。測定試料とX線センサを数cm内の距離に設置する場合(月惑星上での観測と同程度)、8KV程度(<0.1mA)の負荷で、蛍光X線法による岩石の主要元素分析が10分程度の積分時間でも可能であることが確認された。これは数時間から半日かかるPIXE法(米航空宇宙局の火星ローバのAPXSによる観測)に比べて十分短時間で実現できることを示す。また、長時間のエージングを継続することによって内部脱ガスが減少し、より性能が安定化してくることを確認した。現在まだ総動作時間が30時間程度であるため、今後は先ず100時間から300時間程度は行い、性能の安定性と寿命を評価する予定である。また、より高電圧を負荷する場合には静電圧よりもパルス電圧負荷法が望ましい。パルス電圧電源装置を購入し、準備している。現在の動作試験が終了し次第、パルス法による高電圧モードでも試験を行う予定である。 さらに、試作1号機による成果をもとに、より安定的な動作が期待される内部グリッド式の試作2号機の設計、および製作を実施した。この性能評価は平成19年度に実施する。
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Research Products
(4 results)