2005 Fiscal Year Annual Research Report
深層水形成に着目した全球規模海洋熱塩循環のマルチスケールモデリング
Project/Area Number |
17684025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽角 博康 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (40311641)
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Keywords | 熱塩循環 / 深層水形成 / ラブラドル海 / 海面境界条件 |
Research Abstract |
全球規模熱塩循環のマルチスケールモデリングに必要とされる、微小プロセス規模モデリング、領域規模高解像度モデリング、全球規模モデリングのそれぞれについて、モデル開発および予備的な実験を行った。微小プロセス規模モデリングについては、既に開発済みの非静水圧海洋モデルのプロトタイプを用いて、海氷下での水塊形成・変成に関する実験を行い、海氷生成によって排出された高塩分水に伴う高密度水塊がどのように輸送・混合されるかについて調べた。また、非静水圧海洋モデルの今後の応用のために必要とされる地形や自由海面の表現について、さらなるモデル開発を遂行した。領域規模高解像度モデリングでは、主要な深層水形成領域のひとつであるラブラドル海のシミュレーションを行った。境界流や中規模渦の表現に関しては、様々な観測と照らし合わせて十分に現実的なシミュレーションを行うことができたが、深層対流が頻度・領域ともに過剰に表現されているのが現状である。この問題については、境界流およびそこから切離される中規模渦によるラブラドル海中央部への淡水輸送が十分ではないためであると、原因がほぼ特定されており、モデルの境界条件や領域設定の見直しを通して今後速やかに解決を図る。全球規模モデリングについては、主として海面境界条件の選定を通して、今後行われるシミュレーションのベースとなるモデル設定の確定を行った。全球規模の海洋モデルを駆動するための海面境界条件として配布されているものは複数存在するが、全球規模熱塩循環のモデリングにおけるそれらの有効性・妥当性はいまだにあまり議論されていない。本年度の研究により、海面熱境界条件における大気-海洋間の熱交換係数に起因して、あるデータセットでは全球規模熱塩循環にあまり現実的とは思われないような大きな振動が生じることがわかった。また、今後の研究に用いることができるデータセットを選定することもできた。
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Research Products
(9 results)