2006 Fiscal Year Annual Research Report
大気における砂塵エアロゾル粒子と人為起源物質との反応
Project/Area Number |
17684026
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小島 知子 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (80281137)
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Keywords | 環境分析 / 大気エアロゾル / 硫酸塩粒子 / 大気圏化学 / 雲形成 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
航空機採取などから得られた実際の大気エアロゾル試料には硫酸塩でコーティングされている砂塵粒子が多数含まれていることを受け、そのようなコーティングが雲形成や降水に及ぼす影響を知るために、環境制御型電子顕微鏡(ESEM)を用いて硫酸塩-砂塵混合粒子の湿度特性を調べた。砂塵に含まれる代表的な鉱物としてカオリナイトを用い、その微粉末を硫酸アンモニウム水溶液に分散して乾燥させることで人工的に硫酸アンモニウムでコーティングされた鉱物粒子試料を作製して、ESEMで水蒸気凝縮の実験を行った。その結果、硫酸アンモニウムのコーティングがあるカオリナイト粒子はコーティングが無いものよりも0.5-3%低い相対湿度で水滴を形成し、いったん形成された水滴は急速に大きく成長することがわかった。また、混合した硫酸アンモニウムの量が多いほど、すなわちコーティングが厚いほど、僅かずつではあるが水滴形成の相対湿度が低下した。これらの結果から、硫酸塩でコーティングされた砂塵粒子は巨大雲凝結核(Giant CCN)として有効であり、降水をもたらしやすいといえる。このことは、7月に神戸で開かれた国際鉱物学会および8月に福岡で開かれた日本エアロゾル学会の年会で発表し、現在投稿準備中である。 ESEMの実験と平行して、熊本市内の金峰山山頂付近および長崎県福江島において、大気中の硫酸塩粒子濃度の変動をモニタリングした。高い硫酸塩粒子濃度を記録した日時で、黄砂飛来の有無、流跡線解析による空気塊の輸送経路、輸送中の気象条件などとどのような関連が見られるかを検討している。モニタリングと同時に大気浮遊粒子のサンプリングを行い、電子顕微鏡で砂塵粒子と硫酸塩の混合状態を分析している。
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