2007 Fiscal Year Annual Research Report
大気における砂塵エアロゾル粒子と人為起源物質との反応
Project/Area Number |
17684026
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小島 知子 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80281137)
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Keywords | 環境分析 / 大気エアロゾル / 硫酸塩粒子 / 大気圏化学 / 雲形成 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
長崎県五島市(福江島)の大気環境観測施設に硫酸塩粒子濃度計を設置し、2006年12月から2007年8月にかけて9ヶ月間観測を行った。硫酸塩粒子濃度の月平均値は4月と5月で最も高く、特に九州の広範囲にわたって光化学オキシダントの注意報が発令された4月末から5月初めにかけては通常の10倍近い数値を記録した。硫酸塩濃度の変動が一酸化炭素濃度の変動と関係していることを見出し、1月と4月に注目して発生源におけるSox/COエミッション比を算出したところ、4月のエミッション比は1月のほぼ2倍となった。1月と4月のいずれにおいても西よりの風が吹いており大陸からの影響が強かったと見られるが、1月中は最多風向が北西の場合が多かったのに対し、4月では西南西の場合が多かったため、排出源の違い、あるいは異なる排出源からの混合の度合いの違いがあった可能性が考えられる。この結果については、大気環境学会九州支部会の研究発表会で発表を行っている。 硫酸塩粒子濃度モニタリングと同時に福江島で採取した粒子サンプルを透過型電子顕微鏡で分析したところ、硫酸塩粒子濃度が高かった時に採取されたサンプルには土壌鉱物の粒子(黄砂粒子)以外にスス粒子やフライアッシュ、鉛や亜鉛を含む人為起源と思われる粒子が多数混在していた。鉛および亜鉛を含む粒子の大部分は硫酸塩に覆われており、このような粒子が硫酸塩粒子濃度の上昇に寄与していると考えられる。また、エネルギーフィルター法を用いて比較的大きな硫酸塩粒子中の硫黄、炭素、窒素の元素分布を調べ、硫酸塩(硫酸アンモニウム)が有機物でコーティングされていることを明らかにした。
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