2005 Fiscal Year Annual Research Report
衝突蒸気雲内の炭素化合物反応過程の実験的研究-地球初期大気組成の解明に向けて-
Project/Area Number |
17684028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉田 精司 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (80313203)
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Keywords | 高速衝突物理 / 高速化学反応 / 有機分析 / 衝突蒸気雲 / 地球初期大気 / 生命の起源 / 天体衝突 / 衝突閃光 |
Research Abstract |
今から40億年ほど昔の冥王代の地球の大気組成は、生命の起源を考える上で非常に重要である。しかし、当時の地球の大気組成は、地質学的にも理論的推にも定が非常に難しい状況にある。これは、集積直後の初期大気組成が分かっていないことに大きな原因がある。地球の初期大気は、天体衝突により生じた脱ガス大気であることは分かっているが、その衝突脱ガス大気がどんな化学組成を持つのかほとんど分かっていない。そこで本研究計画では、炭素質コンドライト様微惑星が地球に衝突した際にどんな組成のガスが発生するのかを決定することを最終目標として研究を行っている。 計画初年度の本年度は、まず衝突蒸気雲中の熱力学状態をその場観測するために欠かせない圧力測定方法の開発を行った。これまで使われてきた発光輝線の線幅測定による圧力測定法では、輝線の自己吸収により大きな誤差が生じてしまうことが問題であった。今回開発した方法は、自己吸収の影響を原理的に受けない吸収線測定を使っているため、測定値の信頼性が格段に向上した。具体的には、CaとNaの吸収線幅の高速分光測定に成功した。これらの元素は隕石中にも大量に含まれるため、コンドライトの蒸発実験にも直接応用ができる見込みである。 また、高速分光実験と並行し、衝突蒸気雲による最終生成ガス分析のためにガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)の導入を行った。これにより四重極質量分析計(QMS)を用いた予備実験で分離が困難であった同じ質量数を持つ多数の分子の同定と定量が可能となった。また、S/N比の向上のために液体窒素によるコールドトラップで濃縮装置を作成し、試験運転を行った。実験の結果は、HCNなど生命の起源に関係の深いと考えられている単純高活性有機分子の測定精度の向上を確認することができた。 (753字)
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[Journal Article] Deep Impact : Observations from a Worldwide Earth-Based Campaign2005
Author(s)
Meech, K.Ageorges, N., A'Hearn, M.F., Arpigny, C., Ates, Aycock, J., Bagnulo, S., Bailey, J., Barber, R., Barrera et al.
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Journal Title
Science 310
Pages: 265-269
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