2006 Fiscal Year Annual Research Report
解離片のエネルギー状態に着目した内殻励起分子の解離機構に関する研究
Project/Area Number |
17685002
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡田 和正 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90294511)
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Keywords | 軟X線光化学 / 反応動力学 / 分子内エネルギー移動 |
Research Abstract |
内殻励起光化学の興味の一つは,分子の内殻励起に伴う特異な反応過程を詳細に調べ,これを積極的に活用することにある。すなわち,適切な単色光を用いて分子内の隣接する原子を識別して光励起すれば,内殻電子の局在性に起因する化学結合切断のメカニズムを探ることができる。その目的のため,本研究では「解離片の運動エネルギー」に着目して内殻励起分子の解離ダイナミクスを考察する。本年度は以下のことを実施した。 (1)フッ素原子を含む有機化合物の内殻励起・解離ダイナミクスについて系統的に調べるために,四員環構造をもつパーフルオロシクロブタンで実験を行った。具体的には,炭素内殻から様々な励起状態への遷移における,解離生成イオンの収量変化や励起光の偏光に対する解離イオンの角度分布・運動エネルギー分布を調べた。データ解析の結果,従来C1s→σ^*遷移と帰属されていた291.3eVの第一共鳴ピークは,C1s→π^*遷移と帰属すべきであるとの結論を得た。運動エネルギー分布もπ^*への遷移とσ^*への遷移で異なることが分かった。さらに,分子内転位が起こった後に生じた解離イオンの存在もみいだした。今後,フッ素内殻領域での実験を実施する予定である。 (2)マスフィルタ型質量分析計を用いたエナジェティック解離イオンの検出効率を上げるために,調整用励起源として電子銃と高電圧電源を導入した。今後,調整をさらに進める。
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