2006 Fiscal Year Annual Research Report
メタロセン系電荷移動固体:その物質開発と電子相探索
Project/Area Number |
17685003
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
持田 智行 東邦大学, 理学部, 助教授 (30280580)
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Keywords | フェロセン / 電荷移動錯体 / 相転移 / 磁性 / TCNQ / 超分子固体 |
Research Abstract |
本研究では、メタロセンを構成要素とする新しい分子性固体の開発を主眼とする。今年度は、以下の2項目に関して検討を行った。 1、アルキルフェロセン-TCNQ錯体の合成と物性 アルキルフェロセン誘導体とTCNQ誘導体の多数の組み合わせについて錯体合成を試み、得られた電荷移動錯体の電荷移動度、磁気物性、結晶構造の評価を行った。集積構造については顕著なアクセプター依存性が見出された。即ちF_4TCNQ錯体はD : A比1:1であり、先に報告したNi (mnt)2錯体と同じ六角ハニカム状の超分子型結晶構造を持っていた。一方F_2TCNQおよびTCNQ錯体はD : A比1:2であり、層状構造をとっていた。この系においては、フェロセニウムイオン間の距離と磁気的相互作用の間に相関が認められた。 2、ヘテロアリールフェロセンの開発とその錯体合成 金属配位能と電子供与性を併せ持つ分子として、一連の新規トリアゾール、テトラゾール系フェロセンを合成し、その電気化学的性質、分解温度、結晶構造について検討を行った。単体結晶中では多くの場合、C-H…N型の弱い水素結合からなるネットワーク構造が構築されていた。なお、これらの物質は金属錯体、電荷移動錯体を与えにくい傾向があった。一方、フェロセニルピラゾールはいくつかの遷移金属錯体を与えた。いずれも単核錯体であり、多くの場合に配位結合と水素結合の共存する超分子構造が形成されていた。フェロセニルピラゾールの単体結晶中では一次元水素結合が形成されており、水素結合に関する静的ディスオーダーが存在した。
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