2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17685005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平岡 秀一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10322538)
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Keywords | 自己集合 / 分子認識 / 金属配位子交換 / 銀イオン / ディスク状多座配位子 / ナノカプセル |
Research Abstract |
三つの3-ピリジル基を有するディスク状三座配位子(L)と銀イオンとの錯体形成の結果、二種類の三次元錯体がそれぞれ定量的に生成した。これらの^1H NMRスペクトルは共に対称性の高い構造体の形成を示唆し、さらにESI-TOF mass測定の結果から、Ag_4L_4およびAg_6L_4錯体の形成が明らかとなった。また、アダマンタンの共存下、Ag_4L_4錯体の単結晶を作成し、X線構造解析を行った結果、Ag_4L_4錯体は4つの銀イオンが四面体型に配置されたカプセル型の構造であり、内部空間に一分子のアダマンタンが取り込まれていた。アダマンタンの包接挙動については^1H NMR測定により、溶液中においても確認された。一方、Ag_6L_4錯体の詳細な構造は明らかではないが、^1H NMRスペクトルから得られる構造体の対称性に関する知見と金属イオン:配位子比から六つの銀イオンが八面体の頂点を占めるかご型の構造であることが示唆された。また、これらの構造体は金属イオン:配位子比に応じて可逆に変換することができる。 Ag_6L_4かご型錯体についてゲスト分子の包接挙動を調べた結果、Ag_4L_4錯体に効率よく包接されたアダマンタンは取り込まれなかった。これはこれらの二種類の銀(1)錯体が共に同一の構成要素から構築されるにも関わらず、金属イオンの持つ配位方向の違いから、作られる三次元錯体の構造が大きく異なる結果である。そこで、これらの錯体の間の分子認識能の違いと構造変換を利用し、ゲスト分子の包接/放出の動的制御を試みた。アダマンタンを包接したカプセル錯体に銀イオンを加えると、かご型錯体に変換し内包されていたアダマンタンは溶液内に放出された。一方、かご型錯体に[2,2,2]-クリプタンドを加えると、カプセル錯体に変換し、錯体内部にアダマンタンが再び包接された。これらの動的プロセスは複数回繰り返し行えることが確認された。
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Research Products
(2 results)