2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ-マイクロ制御構造・空間を有するモノリス型分離デバイスの創製
Project/Area Number |
17685006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅村 知也 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10312901)
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Keywords | 高速液体クロマトグラフィー / モノリスカラム / キャピラリーカラム / 放射線重合 / プロテオーム解析 / メタロミクス / 複合分析システム / 金属酵素 |
Research Abstract |
高性能な分離機能材料の創製に向けて、放射線や電子線を利用したナノ-マイクロファブリケーション技術の開発に取り組むとともに、多様なポストゲノム研究に対応可能な高性能分離計測システムの構築を図った。以下に具体的な研究成果をまとめる。 1)放射線を利用したナノ-マイクロファブリケーション技術の開発 γ線の線量率、照射時間、反応温度等の条件を検討し、重合度や構造が高度に制御されたモノリスポリマーを作製する条件を見出した。本法を用いることにより、一般的な熱重合に基づく手法と比較して、カラムの分離能を2〜3倍程度向上させることができた。 2)有機ポリマー製ミクロ・セミミクロモノリスカラムの開発 前述の放射線重合法、また改良を加えた熱重合法により、低背圧でありながらも高い分離能と機械的耐久性を有するメタクリレート系モノリスポリマーを作製することに成功した。このモノリスカラムは2桁に及ぶ幅広い流量域で使用可能であり、低流速(通常流量)での高性能分離と高流速での超高速分離を1本のカラムで実現できる。また、カラムサイズのスケールアップにも取り組み、これまで報告されているものよりも、直径にして3倍程度大きなセミミクロスケールのモノリスカラムを作製することに成功した。これにより、一般の検出器をそのまま利用できる、また、試料負荷量を10倍にできるなど実用性・汎用性が格段に向上すると期待される。 3)温度・流速グラジエント溶離HPLCシステムの構築と評価 モノリスカラムは圧力損失が低く高速送液が可能である。一方、ミクロ・セミミクロサイズのカラムは熱容量が小さいという特長がある。これらの特性を分離に利用すべく、従来の濃度勾配溶離に加えて、流速や温度勾配溶離を可能とするシステムを構築し、タンパク質の高速分離に応用した。この装置を用いることにより、4種類のタンパク質を20秒以内にベースライン分離することができた。
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