2005 Fiscal Year Annual Research Report
高次複合型カテキンオリゴマーの合成と機能探索に関する研究
Project/Area Number |
17685007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大森 建 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50282819)
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Keywords | カテキン / ポリフェノール / プロシアニジン / オリゴマー / タンニン / catechin / polyphenol / procyanidin |
Research Abstract |
緑茶などに多く含まれるカテキンオリゴマーは、抗酸化、抗腫瘍活性をはじめとする様々な生理作用を示すことから近年、注目されている。しかし、これらは単離、精製が困難であるうえ、有効な合成法もほとんどないことから、個々の化合物の化学的性質や生理作用等が明らかにされた例は多くない。したがって、合成により様々な化合物を生理活性評価の試料として供することができれば、ポリフェノール化学の進展に大きく寄与するものと期待される。そこで本研究では、カテキンオリゴマーの選択的な合成法の開発を目指した。 実際にカテキン鎖の伸長を行うにあたり、糖鎖合成におけるオルトゴナル法の考え方を応用した。すなわち、異なる脱離基を有するカテキン誘導体を二種類共存させ、適切な条件で一方のみを選択的に活性化し他方と反応させることにより、オリゴマー構造の構築を試みた。ここで、求電子成分として用いるユニットの特定の位置を臭素化することにより、求電子成分の自己縮合の抑制を図った。 その結果、これまで問題とされていた重合度の制御に成功し、目的とするオリゴマーを選択的に合成することに成功した。さらに、検討を加えた結果、3位の水酸基を電子求引性基で保護する、あるいは、かさ高い置換基を導入したアリールチオ基を用いると、副原応の要因となる硫黄原子の求核性が効果的に抑制されることが分った。実際にこのスルフィド誘導体を用いて二量体との縮合を行ったところ、これまで得られなかった脱離基を有する三量体の合成に成功した。また、この方法を利用し、カテキン単位を順次伸長することにより、はじめて六量体の合成に成功した。
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