2006 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体触媒多成分連結法に基づく多様性指向型精密合成プロセスの開拓
Project/Area Number |
17685008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 芳彦 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (60283412)
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Keywords | 遷移金属触媒 / ルテニウム / パラジウム / ロジウム / 環化三量化 / 交差カップリング / ホモカップリング / 環変換反応 |
Research Abstract |
複雑な置換様式を有する芳香族化合物の高効率・選択的合成手法の確立を目指し,銀・ルテニウムおよびパラジウムをそれぞれ触媒とする変換反応を組み合わせた画期的合成プロセスを開発した。すなわち,入手容易な1,6-ジインに対して銀触媒ヨウ素化をおこなってジョードジインを得た後,ルテニウム触媒を用いて炭素-ヨウ素結合を損なうことなく芳香環へと変換した。更には,得られたジヨードベンゼンに対してパラジウム触媒を用いる種々の交差カップリング反応を適用することにより,多様な長共役化合物を合成することに成功した。この手法を生理活性天然物papulacandin類に見出されるスピロ環状糖骨格の構築に応用し,非天然型のスピロC-グリコシド-アミノ酸複合体や対応するリボシドの合成も達成した。 これらの成果に加え,ルテニウム触媒を用いる高選択的ピリジン合成法,パラジウム触媒を用いるアリールホウ酸類の環境調和型ホモカップリング法や,ロジウム触媒を用いるシクロブテンジオンの新規変換法を創出した。パラジウム触媒ホモカップリング反応では,従来法とは異なり配位子や活性化剤などの添加剤を一切必要とせず,空気を触媒再酸化剤として活用することに成功した。ロジウム触媒反応に於いては,マイクロ波照射条件下に効率よくアルケニルアミンを導入したシクロブテンジオン誘導体を反応基質として加熱反応させることにより,四員環骨格をエニンと一酸化炭素源とするPauson-Khand型反応が進行し,これまで合成の困難であった複素環を得ることができた。
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