2005 Fiscal Year Annual Research Report
動的ラジカル高分子反応に基づく構造再編成高分子システムの構築
Project/Area Number |
17685011
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大塚 英幸 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教授 (00293051)
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Keywords | 高分子反応 / 高分子合成 / ラジカル反応 / 架橋高分子 / 構造再編成 |
Research Abstract |
本研究では、可逆的な結合・解離システムを高分子材料に導入することにより、動的な特性を有する次世代型高分子材料を創製することを目的とする。一般に、架橋高分子は溶媒に対して不溶不融であり、化学的に分解させない限り構造を再編成させることは不可能である。今年度は、アルコキシアミン誘導体を架橋部位に導入することで、室温で材料としての安定性を有し、外部刺激(加熱)存在下では構造再編成能を有する3次元架橋高分子の合成と脱架橋反応について検討した。 加熱下で構造再編成能を有することが期待される3次元架橋高分子の合成を試みた。ポリメタクリレート系の3次元架橋高分子骨格を構築するために、アルコキシアミン骨格を含有し、二種類のメタクリレートモノマーを合成した。これらのモノマーでは、異なる位置で重合性官能基に連結するように分子設計を行った。得られた二種類のモノマーとメタクリル酸メチルとの共重合反応により、2種類のランダム共重合体の合成を行った。反応条件を制御し、比較的低温でラジカル重合を行うことで、直鎖状高分子を得た。アルコキシアミン部位は加熱により可逆的解離し、ラジカル的な交換反応が進行するため、2種類の共重合体を混合し加熱することで架橋反応が進行することが明らかとなった。得られた架橋高分子のキャラクタリゼーションは、元素分析、赤外吸収分光法などにより行った。さらに、アルコキシアミン誘導体を含む溶媒で膨潤させ加熱を行うことで、動的な構造変換を利用した脱架橋反応が進行することを明らかとした。このように架橋高分子系において構造再編成可能な高分子システムの構築に成功した。
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