2006 Fiscal Year Annual Research Report
動的ラジカル高分子反応に基づく構造再編成高分子システムの構築
Project/Area Number |
17685011
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大塚 英幸 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教授 (00293051)
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Keywords | 高分子反応 / 高分子合成 / ラジカル反応 / 架橋高分子 / 構造再編成 |
Research Abstract |
本研究では、可逆的な結合・解離システムを高分子材料に導入することにより、動的な特性を有する次世代型高分子材料を創製することを目的とする。一般に、架橋高分子は溶媒に対して不溶不融であり、化学的に分解させない限り構造を再編成させることは不可能である。前年度は、アルコキシアミン誘導体を架橋部位に導入することで、室温で材料としての安定性を有し、外部刺激(加熱)存在下では構造再編成能を有する架橋ポリマーの合成と脱架橋反応について検討したが、今年度は、アルコキシアミン骨格のラジカル交換反応を利用した直鎖状ポリマーと星型ポリマー間の構造変換について検討した。 原子移動ラジカル重合により、側鎖にアルコキシアミンを導入したブロック共重合体を合成した。ブロック共重合体のアニソール溶液を調製し、100℃で24h加熱することにより高分子反応を行い、GPC測定により分子量を評価した。加熱によりブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー曲線が高分子量側にシフトし、比較的分子量分布の狭いポリマーが得られた。ラジカル交換反応により、ドメイン選択的に架橋反応が進行したためであると考えられる。また、平衡反応であるため、濃度や溶媒、ブロック共重合体の組成などの反応条件を反映した熱力学的に安定な構造を形成し、分子量分布の狭いスターポリマーが生成したものと推測される。また、本系では過剰のアルコキシアミンやニトロキシドラジカルで処理することにより、線状高分子への返還することにも成功した。
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