2005 Fiscal Year Annual Research Report
気/液界面でのラフトドメインモデルの構築と機能解明
Project/Area Number |
17685012
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
飯村 兼一 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (10272220)
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Keywords | 生体膜 / ラフトドメイン / スフィンゴ脂質 / リン脂質 / コレステロール / 単分子膜 / 相分離 / マイクロドメイン |
Research Abstract |
細胞膜中には、直径数十nmのラフトドメインが存在し、タンパク質の吸着や輸送、情報伝達の場として機能していることが指摘されている。本研究では、水面上に脂質分子の単分子膜を形成させ、膜におけるドメイン形成や膜と生体物質との相互作用を明らかにすることによって、ラフトドメインモデルを構築するとともに、その特性や機能を明らかにすることを目的としている。平成17年度は、主として、細胞膜主要成分の単分子膜状態における分子混和性について、物性測定とイメージングエリプソメーターや原子間力顕微鏡による観察、赤外分光法などによって検討した。また、水面上単分子膜で形成されるモルフォロジーの分子論的解釈と定量的評価法の確立を目指した研究を展開した。 細胞膜成分としては、コレステロール(Chol)とスフィンゴミエリン(SpM)、スフィンゴ糖脂質(SpS)、および疎水鎖構造が異なる数種のボスファチジルコリンとセリンを用いた。ボスファチジルコリン同士、或いはコリンとセリンの混合膜では、分子間に相互排除力が働き、膜が膨張する傾向にあった。一方、Cholとリン脂質の混合膜では、いずれの場合にも膜が凝縮したことから、Cholは分子間の相互親和性を高める働きをすることが確認された。特に、SpMとCholの混合膜では分子間には極めて強い親和力が働き、分子占有面積は理想混合に対して期待される値の7割にまで減少した。以上の系で膜は均一構造であったのに対し、SpSを含む混合膜では、リン脂質とコレステロールのどちらと組み合わせた場合にもマイクロドメインが形成されることを明らかにした。特に興味深い構造は、SpSとCholの混合膜で形成されたSpSリッチなドメインで、そのサイズは数十nmでありラフトドメインに予想されるサイズに対応するものであった。現在、これらの膜に対する主要な膜タンパクの吸着挙動について検討を進めている。
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Research Products
(3 results)