2005 Fiscal Year Annual Research Report
巨大分子吸着系における価電子帯ホール・振動結合:有機電荷輸送機構の解明
Project/Area Number |
17685019
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
解良 聡 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (10334202)
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Keywords | 表面界面物性 / 有機半導体 / 電子分光 / 薄膜 / 分子配向 |
Research Abstract |
本研究では有機系特有の電子状態と界面構造の関連性について「分子振動」というキーワードから注目する。電子状態および界面構造の高分解能測定により、見え始めてきた有機薄膜界面特有現象の解明をねらう。価電子状態の高分解能測定を行うための高分解能光電子分光測定装置は分析器、および単色光源の調整が進み、エネルギーギャップ中の1/1000程度の微小状態密度を検知することが可能となった。次年度以降、有機無機界面のギャップ準位の起源を明らかにすべく、後述の構造解析装置とあわせて実験を進める。 界面構造を詳細検討する目的で、本年度は上記の高分解能光電子分光測定装置に、新規に高分解能低速電子線回折装置(スポットプロファイル分析型:SPALEED)を導入した。これにより同一試料に対して電子構造と膜幾何構造の高分解能測定が可能になり、吸着状態と振動結合の関連性を詳細に検討できる条件が揃った。装置納入後、SPALEEDとしての性能を十分に発揮させるために、超高真空環境の整備と磁場電場環境の確認およびテストサンプルでの性能評価を行っているが、現段階で目的の性能までは到達していない。次年度は、安定動作下のもと、単結晶基板上の有機分子配向試料の作製と界面構造の評価を行う予定である。尚、本年度は、上記装置の導入準備として、ヴュルツブルグ大学(ドイツ)所有のSPALEED装置にて予備実験を行った。SPALEED装置の特徴を把握するとともに、実際にAg(111)基板上のOTiフタロシアニン単分子膜の構造決定、および熱処理による配列変化の観測に成功した。その結果、単分子膜の二次元配列が成膜条件に依存して変化することを見いだした。
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