2005 Fiscal Year Annual Research Report
超解像ケミカルイメージングによる拘束空間下の高分子科学
Project/Area Number |
17685024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 裕之 京都大学, 工学研究科, 助手 (90343235)
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Keywords | 近接場光学顕微鏡 / 単一分子観察 / スピンキャスト膜 / 高分子単分子膜 / コンホメーション緩和 / 表面・界面 / Langmuir-Blodgett法 / 蛍光プローブ法 |
Research Abstract |
本研究は、近接場光学顕微鏡(SNOM)による光の回折限界を超える空間分解能での光学計測によって、非摂動状態における広がりよりも小さな空間下に拘束された高分子鎖の構造および物性を明らかにすることを目的としている。 本年度は、単分子膜中すなわち二次元平面内に束縛された高分子鎖の緩和過程を単一分子鎖観察によって明らかにした。ポリメチルメタクリレート(PMMA)をペリレンによって蛍光ラベルを施し、SNOMによって単一高分子鎖の観察を可能とした。これを水面上に展開することによって単分子膜を形成した。このときPMMA鎖は二次元平面上に束縛された状態となっている。これをLangmuir-Blodgett法によって、PMMAのバルクフィルム上にすくい取り、個々の鎖のコンホメーションのSNOM観察を行った。高さ方向(z軸方向)への広がりをほぼ完全に失った二次元の高分子鎖は、隣接した他の鎖との絡まり合いを持たず、収縮したコンポメーションをとっていることが示された。これをPMMAのガラス転移点以上である170℃でアニーリングを行い、その緩和過程を観察した。膜の断面観察すなわちz軸方向への広がりを観察したところ、アニーリング時間とともに、表面の単分子膜層の鎖が、バルクPMMA基板内部へ拡散してゆく様子が観察された。一方、xy平面内での高分子鎖の回転二乗半径は、アニーリングによってほとんど変化しなかった。このことは一分子鎖あたりの広がりの大きさが拡大していることを直接示すものである。これは単分子膜としての平衡状態から三次元バルク平衡状態への移行に伴って、鎖同士の絡み合いが増加していることを示しており、二次元鎖状態での高分子鎖は絡み合いを形成しないという理論予測を裏付けるものである。
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Research Products
(2 results)