2006 Fiscal Year Annual Research Report
超解像ケミカルイメージングによる拘束空間下の高分子科学
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17685024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 裕之 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90343235)
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Keywords | 近接場光学顕微鏡 / 単一分子観察 / スピンキャスト膜 / 高分子単分子膜 / ミクロ相分離 / 表面・界面 / Langmuir-Blodgett法 / 蛍光プローブ法 |
Research Abstract |
本年度は(1)π共役系高分子であるポリ(メトキシエチルヘキソキシ-p-バラフェニレンビニレン)(MEH-PPV)の超薄膜下での単一分子レベルでのコンホメーション、および(2)ブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造内における鎖のコンホメーションについて検討した。 (1)従来の走査型近接場光学顕微鏡(SNOM)に対して偏光検出光学系を導入することで、MEH-PPV鎖全体の形態を観察するだけでなく、偏光解析により共役鎖セグメントの配向方向までを評価することを試みた。ここで使用した偏光SNOMは、試料からの信号光を偏光ビームスプリッタにより互いに直交する偏光成分に分離し、それぞれの強度比からセグメントの配向方向を見積もった。ポリスチレン媒体中に分散した分子量200万のMEH-PPV鎖は、およそ400nm程度の広がったコンホメーションをとることが示された。偏光SNOM観察により、その単一分子鎖の中でもセグメントの配向方向は異なり、ランダムな配向を示すことが分かった。この超薄膜試料表面をラビングによって摩擦を与えた後に観察を行ったところ、鎖全体の形態はラビングによって変化しないものの、ほぼ全てのPPV鎖からは摩擦方向の偏光が観察され、PPVセグメントがラビング方向に配向することが示された。このように、ラビングにより膜表面からの剪断応力を受けても鎖全体のコンホメーションを変えることはないが、鎖の一部のみが配向することが明らかとなった。 (2)ブロック共重合体が形成するミクロ相分離構造内における鎖のコンホメーション評価を試みた。ポリスチレン(PS)-ポリメチルメタクリレート(PMMA)二元ブロック共重合体をフルオレセインによって蛍光ラベルすることで、SNOMによる蛍光観察を行った。試料として各成分の重合度が等しいPS-PMMAを用いた。この試料が形成するラメラ状ミクロ相分離構造のSNOM観察を行い、ブロック鎖が相分離界面法線方向に配向していることを示した。
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Research Products
(1 results)