2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ナノ構造におけるスピン依存伝導とスピン制御
Project/Area Number |
17686001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 裕三 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (00282012)
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Keywords | 強磁性半導体 / 半導体量子ナノ構造 / スピントロニクス / スピントランジスタ / 顕微分光 / スピン注入 |
Research Abstract |
本研究では、磁性/非磁性半導体からなる量子ナノ構造デバイスの設計と作製を行い、電子、核、および磁性不純物原子のスピン状態を電気的または光学的に制御し、それらの相互作用の制御及びその結果もたらされる光・電子・磁気スピン物性を調べ、スピントロニクスデバイスの基盤技術を確立することを目的とする。本年度は、半導体量子ナノ構造における効率的なスピン注入の実現とその伝導特性を明らかにすること、また、局在するスピン(核・磁性原子)の操作とその検出を可能にするデバイスの設計・試作を行うことを目標に研究を実施した。本年度の研究実績は以下の通りである。 ・強磁性半導体(Ga,Mn)Asの価電子帯から非磁性半導体GaAsの伝導帯へバンド間トンネルによりスピン偏極電子を注入可能なスピンエサキダイオードとスピン検出発光ダイオードを積層化したスピンLEDにおいて、中間層に制御電極を有する3端子デバイスの試作に成功し、スピン注入効率の印加バイアス電圧依存性を明らかにした。また、最大で86%の高い偏極率を有するスピン偏極電子電流の注入を実現した。 ・量子閉じ込め効果の強い(In,Ga)As/(Al,Ga)As(110)量子井戸構造において結晶場の作る有効磁場が極めて強い異方性を有することを、電子スピン緩和時間の巨大異方性より明らかにした。この結果は、有効磁場で電子スピン操作をするスピントランジスタの設計に有益な知見を与える。 ・静磁場中で光励起により分極した核スピンに対し、共鳴条件を満たすパルス振動磁界を印加して時間分解カー及びファラデー回転測定を行い、半導体量子構造における局所的な核スピンダイナミクス(ラビ振動)の実時間観測とスピンエコーを確認し、横緩和時間を実験的に得た。 ・3次元量子ナノ構造における電子・核スピンを検出するため、空間分解能<1μmの磁場中顕微分光システムの立ち上げを進めた。
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